Toshiyuki Kawanishi Blog


2008
4 . 27

いまさら「ウェブ時代をゆく」

いまさらですが、梅田望夫さんの「ウェブ時代をゆく」を読みました。



ウェブ時代にいかに働き、いかに学ぶかというのがこの本のテーマになっています。個人的に気になったところを以下にまとめてみたいと思います。

  1. 群集の智慧: まず、前著でも議論されていた群集の智慧という言葉に惹かれました。みんなの智慧を集めて価値を創造していく。また、いわゆる庶民に光があたるための道具としてWebが進化していく。このようになって欲しいなと、この本を読んでいて思いました。例えば、老後の趣味はパソコンとインターネットという知り合いも増えてきました。そのように、特別な道具としてではなく、ラジオやテレビのような身近な家具として全世代に浸透して言って欲しいと思います。そうすると、携帯電話などと連携して、人と人を繋ぐ道具としての価値がより一層ましてくるのだと思います。本の中で触れられていた通り、これが現代の経済の常識を脱却するための原動力になるのではないでしょうか。
  2. 個人個人の努力: では、そのようなWeb社会を形成していくために個人個がどのように取り組んでいけば良いのかというヒントが、いくつか本の中に紹介されています。その一例が若い時の努力ということです。「若い時の苦労は買ってでもしろ」というのは先哲の言葉ですが、これは本格的なWeb時代を迎えてもかわらないんだなと実感しました。さらに、ロールモデルという考え方が紹介されていました。これは、あることをするときに手本を見つけて考えるという手法のことですが、この部分を読んだときに吉川英治の「我以外皆我師」という言葉を思い出しました。これって最大の向上心ですよね。これ以外にも、精神的タフさ、内面性の重要性、未来の観点からの目標といったキーワードが散りばめられていました。また、本でも触れられていましたが、これらの努力から生まれる個人の良識なくして、健全なWeb社会は形成されないと実感しました。
  3. チーム: 上記のような個人個人の取り組みが大事になってくるのですが、これらの価値が本当に発揮されるのはチームとしてまとまった時なんだと思います。それが、本の中で例として挙げられているオープンソースプロジェクトなのだと思いました。私個人の体験を例として紹介すると、私は始め一人であるオープンソースソフトウェアの日本語化をしていたのですが挫折してしまいました。ただ、興味ある人たちと再度取り組んだところ、驚くべきスピードで作業が進みました。それが、現在のTestLinkに関する活動に繋がっています。それ以外にも、情報共有や新しく入ってきた人を大切にすることなど、チームビルディングを彷彿とさせるキーワードが本の中に記載されていました。これは、チームの真価を最大限に発揮するというアジャイル開発の考え方に通じるものがあると感じています。さらに、チーム内に世の中を良くするとはどういうことか、何のために活動するのかといった哲学が共有されていくと、生み出した価値が持続していくのだと思います。
  4. 理論化: 話はちょっと変わりますが、本の中で、まだまだWebの本質に関しては理論化が進んでいないという事に少し触れられていました。確かにこれからは理論的な観点での研究も大事になるかなと思っています。特に、Webの構造、Web経済論、Web社会論などは理論的、学問的に専門的な研究が必要なのではないでしょうか。例えば、数理モデルの世界では、ロングテール(ヘビーテール)の理論や、スモールワールドの理論(グラフ理論)などの研究が一時期はやったこともあるので、これらが体系的にまとまってくると新学術分野として面白いのではないかと思っています。
  5. 大切なこと: まとめとして、本の中に紹介されていたWeb時代を生きるうえで大事なキーワードを挙げておきたいと思います。それは、Webリテラシ、教育、情報の選択です。これからもこのことについて考えていきたいなと思いました。

それから、書評や本に未掲載の情報などは、梅田さんご本人のブログをご覧ください。


次は最新刊の「ウェブ時代5つの定理」に注目でしょうか。